経営・管理ビザ 【総説】

経営管理ビザ

日本で会社を設立し、経営して報酬を得る場合には、経営管理ビザの取得が必要です。

短期滞在の在留資格で出入国を繰り返すことは違法です。在留資格「短期滞在」は、

報酬を伴わない商用の場合に認められる在留資格であるからです。

パターン1:すでに日本の中長期滞在者である外国人の方が会社設立をする場合

就労に制限のない在留資格 をお持ちの外国人による起業

在留資格「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」を

すでにお持ちの外国人の方は、就労に制限がありません。このため、経営管理ビザを

取得しなくても会社の設立・経営を行うことができます。

現在、就労ビザ、ワーホリビザ、留学ビザ などをお持ちの外国人による起業

就労系の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「興行」など)、留学、

特定活動(ワーキングホリデー)などをお持ちの方は、在留資格「経営・管理」を取得

する必要があります。

パターン2:海外にお住まいの外国人の方による起業の場合

日本の銀行に、個人として銀行口座をお持ちの場合

ケースバイケースの判断が必要ですが、はじめから経営管理ビザ1年を申請することが多

いです。

日本の銀行に、個人として銀行口座をお持ちでない場合

ケースバイケースの判断が必要ですが、はじめは経営管理ビザ4ヶ月を申請することが多

いです。

経営管理ビザ Q&A

Q: 投資経営ビザから経営管理ビザへのリニューアルで何が変わりましたか?

 A: 日系企業の役員も、経営管理ビザの対象となりました。

投資経営ビザは、平成元年に、外資系企業の受入促進策のひとつとして、外資系企業の

役員が在留資格を取得できるように新設されました。それから25年余りが経過して、

日本における外資系企業はグローバル化の進展に伴って珍しい存在ではなくなり、今度

は日系企業にも役員として外国人が参画する時代となりました。大手自動車会社の役員

構成をご覧になれば、顕著に現れています。このような時代にあって、日系企業で働く

外国人経営者に与えられるビザ(人文知識・国際業務)と、外資系企業の外国人経営者

に与えられる在留資格とが別であることに違和感が感じられるようになり、この度の法

改正で、日系企業の外国人役員も、経営管理ビザの対象となりました。

Q: 経営管理ビザは、創業者(起業家)にしか許可されませんか?

 A: 既存の会社に参画したり、既存の会社の経営を譲り受けたりしても取得できます。

経営管理ビザの取得は、必ずしも創業者だけを対象にはしておりません。既存の会社の

業務の国際化にあわせてその担当役員として外国人を置く場合、つまり既存の会社に後

から参画する場合にも取得できます。

Q: 事業計画書の作成でのポイントは何でしょうか?

 A: 事業の規模と継続性の立証です。

経営管理ビザが対象とするビジネスは、ある程度の規模がないといけません。この事業

規模は事業計画書に反映されます。また、事業の継続性も事業計画書で立証します。1

年後には更新許可申請をする必要があるので、現実に即した事業計画書の提出が必要で

す。

Q: 既存の会社で、新たに外国人を経営者とする場合の注意点は何ですか?

 A: 申請人の投資の割合や業務分担などにご注意下さい。

既存の会社の場合には、すでに複数の取締役がいらっしゃることと思いますので、それ

らの方々に加えて、新規に外国人経営者を迎え入れる必要性が問われます。大規模な会

社では議決権割合は問われませんが、比較的小さな規模の会社様ですと、申請人の株主

総会における議決権割合なども審査項目となります。

Q: 短期滞在のビザで、日本の会社を経営できませんか?

 A: 会社から報酬をもらうのであれば、できません。

日本法人の役員に就任したとしても、完全に無報酬なのであれば短期ビザでの来日も合

法です。しかしながら、NPO法人であれば役員の無報酬はよくみられますが、株式会

社の場合には、株式会社自体が営利活動を目的とする法人ですので無報酬の主張はかな

り厳しくなると思われます。

Q: 事務所は狭くても良いですか?

 A: 事業内容によります。

例えば、中古車の輸出業を営む場合には、買い付けた中古車を駐車させるスペースの確保

が事業を営むために不可欠でしょうし、飲食店の場合には店舗の確保が不可欠です。この

ように、ビジネスの形態によって必要な広さは様々ですので、一般化して申し上げること

はできません。事業規模を常勤職員2名以上の雇用によって証明する場合には、少なくと

も申請人を含めた3名以上が常時働けるだけのスペースが必要です。一方で、翻訳・通訳

の会社で、資本金を500万円用意されるケースでしたら、机ひとつあれば足りるという

主張もあり得るでしょう。

Q: 常勤職員を1名雇う場合には、資本金は250万円でよいですか?

 A: その可能性が高いです。

事業規模は、一般的なケースでは、常勤職員2名以上の雇用または資本金500万円で証

明しますが、常勤職員2名以上の雇用に準ずる規模として、常勤職員1名+資本金250

万円というケースが想定されています。

Q: 自宅を事務所にできませんか?

 A: 禁止されていませんが、おすすめはしません。

会社法上は、自宅を会社の本店にすることも何等禁止されていませんが、経営管理ビザの

場合にはあまりお勧めできません。それは、経営管理ビザの取得には相応のビジネスの規

模が要求されるところ、自宅を事務所にしてそのビジネスの規模を達成できるのか?とい

う疑問を払拭しなければならない負担を抱え込むからです。つまり事務所要件は、ビジネ

スの規模の要件判定に密接にかかわっていることにご留意が必要です。

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この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザほか多数。